本日は個人事業主として餃子専門店を営んでいらっしゃる方からのご相談です
こちらのお店は、一般的な餃子の材料である豚肉を使用せずに
『鶏肉』や『おから』・『ヨーグルト』などを使ったとってもヘルシーな餃子を提供されていらっしゃいます。
もともと私は大ファンで本当にとっても美味しい餃子なのに、使っている原材料はとってもヘルシー。
料理は化学なんですね~。あの材料からとっても美味しい餃子の味になるのが不思議です!
『商標』を登録しておかないと折角のブランドが乗っ取られる可能性が・・・
本当に美味しい餃子を手間暇かけて作っていらっしゃる為、ネットでもじわじわと人気になりつつあるようです。
これから先は『食と健康』は外せないテーマですから、このアイデアや人気化しつつある名称は模倣の可能性がでてきますね。
特にこちらの事業者さんはロゴマークやビジュアルイメージが『健康』をイメージしやすく統一されていて本当に素敵です。
マネしたくなる気持ちもわかるような・・・
私は知財・特許の専門家 『弁理士』ではありませんので、実務の代行は出来ませんので一般論を解説しました。
特許情報プラットフォームというサイトでは様々な名称や特許の登録状況を確認できます。※ご自身のお店やブランドをチェックできますよ
幸いに現在は同じ商標を登録されている状況は無いようです。店舗名だけ?それとも商品名も?英語表記は・・・?
今回は弁理士さんにお願いせず、ご自身で特許庁に郵送で出願する事になりそうです。
出願する件数や出願する『区分』(業種や商品・サービスの分類)をどれで出願するのが正しいのかは知財総合支援窓口をご紹介し、確認してもらいます。
出願件数で必要な収入印紙の金額が異なり、コストとなりますから費用対効果を考えて慎重に検討する必要がありますね
ところで、本当に変わった中身でヘルシーでとっても美味しい餃子なのですが・・・
レシピを特許で保護するべきか・・・?大事なレシピを守る方法は?
料理のレシピはアイデアですので、商標では無く『特許』として登録し占有権を主張できるわけです。
例えば、先ほどの特許情報プラットフォームで特許の検索に『調理法』で検索すると200件以上の情報が表示されます。
中には『1分でやわらかいトンカツを揚げる方法』なんて特許も・・・ふむふむ。温度が重要なのか・・・ほうほう。このタイミングで・・・
ぜ、全部書いてる・・・。
特許とは内緒で守ってくれる制度では無いんですね。※特許に認められなくても出願から1年半で公開される制度もある
逆にレシピのすべてをさらけ出してしまう必要があるわけです。
しかし、例えばそのレシピが模倣されている。権利が侵害されていると証明し、訴訟する事は大変困難です。
やはりレシピは秘伝として内緒にしておくのが良さそうですね。
対して『商標』や『ロゴ』はブランドそのものです。
皆さんのお店が育てた大切なお店のイメージ!を選んでくれているお客様を奪われない為にも『商標』は『知財』として重要性を認識しないといけませんね
販売促進はどうやって取り組んでいけばいいの?
ネット販売も手掛けていらっしゃいますし、webサイトの見栄えも大変立派です。
今後の販売促進のお話しになりました。
『豚肉を使っていない餃子』という商品特性から『ムスリム』の方向けに
ハラールフードの認証で販売ルートを広げられないか?
と事前に調査していました。
そのお話を向けてみますと、すでに検討されていらっしゃったのですが、ハラール認証は大変な労力と厳しい認定基準があります。
認定後の一定期間内にムスリムの従業員を雇用する等の要件です。
販売価格へのコスト転嫁を考えると現在の規模では優先順位を下げざるをえないという意見で一致しました。
次に提案したのは
地元商工会議所が行っている地元食材を使っている食品のブランド認証を受け、ふるさと納税の返戻品として登録してもらう
というアイデアです。
こちらは現在の仕入れ環境からも実現可能性が高いようです。
今回の訪問では関係機関への確認が十分で無かったので、今後の継続課題として調査していく事になりました。
販路が拡大すると今度は生産工程を見直し、機械化・省力化を行っていかなければ販売増に対応できません。
来年度予算 経済産業省・日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金制度の確認
今年度は締め切られてしまっていますが、私の会社も獲得した『小規模事業者持続化補助金』は販売促進や業務効率化の為の設備投資を助けてくれます。
来年度の予算の概算要求にも今年度よりも上乗せされた金額が要求されていますので、
来年度の発表に向けて補助金を獲得できるような『事業計画』の策定を提案しました。
その視点から生産工程をお訊ねしていると、餃子づくりの中でまだ機械を使用していない行程がありました。
大変に力のいる重労働ですが、味を決める重要な工程でもある為、どのような機械が適しているのか・・・?
この点は検討と検証を重ねて準備が必要という意見で一致しました。
店舗運営に必要なリスク対策・・・PL保険だけで十分?
最後にリスク対策としての損害保険の加入状況を確認しました。
パックタイプの保険でお出しするお料理や販売する餃子から発生する可能性のあるトラブル、
食中毒や異物混入での健康被害に対応する『PL保険』(生産物責任保険)と
店舗でお客様がやけどをしたりケガを負わせてしまうといったリスクに対応する『施設賠償保険』のどちらにも加入されていて一安心でした。
現在の生産は小ロット生産であり、ネット販売であれば販売先が特定しやすいのですが、
店頭では対面での『不特定多数へのお持ち帰り販売』がおこわなれています。
お持ち帰り販売ではお客様を特定する事が出来ないため、
健康被害を及ぼす『可能性がある』段階での異物混入などの問題が発覚した段階で対応できる『リコール保険』の必要性をご説明しました。
またそれらのパックタイプの保険は『商工会議所の団体保険・事業補償制度』を使うことでうまくコスト削減できるというアドバイスを行いました。
飲食店と親和性の高いSNS LINE@の活用
事情により発生する臨時休業などのアナウンスは現在はフェイスブックが中心との事でした。
フェイスブックは若い世代を中心にアクティブユーザーが減り始めています。
アクティブユーザーが日本に約7000万人と非常に多く、タイムリーな告知には向いている『LINE@』の簡単な説明をしてお時間となりました。
本当に魅力的な店主さんで、この独特の餃子が開発されたストーリーには誰もが知っているような超有名実業家のある方の発想があったことなど、
様々な面白いお話しが聞けてこちらが勉強になる時間を楽しませていただけました。
本当にありがとうございます。